これは、【UX Tokyo Advent Calendar】のために書いたものです。(12/9)
ヨーロッパ最大のIA/UXカンファレンス、EuroIA 2014に参加してきました。今年は開催10周年ということで、1回目の開催地だったベルギーのブリュッセルで、9月25日から27日までの三日間にかけて行われました。形式としては午前中はワークショップ、午後はプレゼン、合間にみんなで食べたり飲んだりして交流するという形でした。私が参加した三つのワークショップの中、二つのワークショップの内容についてはその詳細を会社のブログに寄稿していますので、今日は「飲んだり食べたり」の時間に見たこと思ったこと感じたことを共有してみようと思います。
1. ベルギーは地理的にフランスやドイツ、オランダに接していて、話す言葉もバラバラです。私は会場から徒歩3分のところに泊まっていて、主な観光地も徒歩10分以内に密集していてあまり遠くへ行くことがなかったのですが、それでもあの小さい地域の中でフランス語やドイツ語、オランダ語や英語が飛び交っていて非常に興味深かったです。中には4カ国語を流暢に話す人も多く、相手がフランス語は話せないけどドイツ語はいけるということがわかった瞬間にドイツ語モードに変えて話すなどしていてすごいと思いました。
EuroIAの会場には求人の紙が貼られていましたが、スキルの一つとして「ドイツ語とフランス語、オランダ語がビジネスレベル以上」という条件があったり。ベルギーの人たちとスタートアップ文化について話していると、彼らにとってローカライズはとてもやっかいだけどクリアしないといけない大きい課題らしいです。日本は日本語がわかる人がほとんどなので、日本語に対応しておけば1億以上の人に理解してもらえることが保証されますが、ヨーロッパの場合、例えばフランス語で対応しても母数が全然少ないのでビジネスとして成り立たず、サービスの成長のためには必ず他言語対応をしないといけないそうです。このようなヨーロッパ独特の事情が聞けて良かったです。
2. 東京のことを「なんだか未来都市なイメージ」と言っていた人が多くて面白かったです。彼らの頭の中にはモノレールが走っているとか、スカイツリーが光っているとか、タッチして自動販売機から飲み物を買うといったものが東京のイメージをなしているのかもしれません。ヨーロッパは大都市でも古い建物がずっと昔から残っていて、そのような環境で暮らしていると、「東京」はSF映画に出てきそうな未来都市のように思えるのかもしれません。何かに対するイメージというものは相対的なものなんだなーということをあらかじめ考える良いきっかけになりました。
この絵はなにごとも相対的なんだなぁと感じたもう一つの例です。これは現地で仲良くなった人が描いてくれた、EuroIAで出会った人たちの似顔絵です。左上に登場しているのが私で、空き時間にひたすらテレビを見ていることや、猫を飼っていることは自分で言ったので、「TV GIRL」というあだなをつけられたり、まわりを猫を描かれたりしたのは単に面白いと思っただけですが、白人から見たアジア人の顔って、やっぱりああなっちゃうんだな、というのが軽い衝撃だったです。アジア人同士で似顔絵を書くと、絶対あんな顔にはならないはずで、私自身も自分の目があんなに細くて、鼻があんなに低いとは思ったことがないのです(笑)
3. 10年間ずっと参加しているという人も多かったので、「昔この会はどうだった?」という質問をたくさんしてみました。共通したものとして、「昔はもっとどうすればいいかわからず悩んでいた」「世間に理解してもらえなくて集団でいじけていた」といったものが多かったです。また、ウェブの時代はよりヒューリスティック調査のようなチェックリストベースの判断基準を作ろうとしていた人が多かったけど、モバイルの発展によってコンテキストを重要視する考え方がメインになってきたという話もあってなるほどと思いました。
「世間に理解してもらえなかった」の部分において、やっぱりAppleの貢献は著しいもので、iPhoneやiPadの普及によって一般の人も「ユーザビリティ」がどんなものか理解しはじめたり、UXの導入が多くの会社で本格的にはじまるきっかけがAppleのビジネス的な大成功であることはほぼ全員同意していました。
「どうすればいいかわからず悩んでいた」の声を代弁したものとして、EuroIAの最後のスピーチ、情報アーキテクトのAbby Covertさんによる「Six things we still suck and four lessons to teach the kids(我々がまだヘタクソである六つのこと、また子供たちへの四つの教訓)」がそのような観点を分かりやすくまとめてくれていました。スピーチでは、いかに長い歴史の中で人々が情報を扱ったり分類したりすることに戸惑ってきたのか、またいかに今でもみんなが「情報」に困惑していて悩んだり苦労したりしているのかを500年の情報の歴史、またここ十数年の世の中の変化の話を交えて話してくれました。
「世間に理解してもらえなかった」の部分において、やっぱりAppleの貢献は著しいもので、iPhoneやiPadの普及によって一般の人も「ユーザビリティ」がどんなものか理解しはじめたり、UXの導入が多くの会社で本格的にはじまるきっかけがAppleのビジネス的な大成功であることはほぼ全員同意していました。
「どうすればいいかわからず悩んでいた」の声を代弁したものとして、EuroIAの最後のスピーチ、情報アーキテクトのAbby Covertさんによる「Six things we still suck and four lessons to teach the kids(我々がまだヘタクソである六つのこと、また子供たちへの四つの教訓)」がそのような観点を分かりやすくまとめてくれていました。スピーチでは、いかに長い歴史の中で人々が情報を扱ったり分類したりすることに戸惑ってきたのか、またいかに今でもみんなが「情報」に困惑していて悩んだり苦労したりしているのかを500年の情報の歴史、またここ十数年の世の中の変化の話を交えて話してくれました。
4. 私が東京で仲良くしている人たちはほぼ映画好きだったり音楽好きだったりしてカルチャーについての話題が枯れることがないのですが、現地で出会った人々とも「タランティーノ映画の中で一番好きな作品は?」と言った、非常に東京で普段話している話題そのままだったのが印象的でした。
最近UXデザイナーの才能というか素質的なものってなんだろう?というのをよく一人で考えていて、UXデザイナーたちはアーティストではなく、科学者でもなく、典型的なビジネスマンではないけど、これらの素養をいい具合に備えていないといけなくて、「いい具合」ってなんだというのを見つけるためにはまた絶妙なバランス感覚が必要かなと思っています。そのバランス感覚も含めて、後天的に学習したものではなく、何か生まれ持ったもので良いUXデザイナーに必要なものはきっとあるというのが私の意見です。
例えば「共感能力」です。共感する力はユーザーの立場でものごとを考える際に非常に役立つもので、自分ではなく、他の人たちがどう思って、どう行動するかをシミュレーションする能力はまさにこの「共感」から生まれてくるのだと思います。共感能力が強い人たちはすぐ登場人物だとかストーリーに共感しちゃうので、人並み以上にフィクションに入り込んで楽しむ傾向があるのではないかというのが私の仮説です。日本だけではなく、ヨーロッパでもUXをやっている人たちが情熱的に映画や小説の話をしているのを見て、自分の仮説がまたひとつ確かなものであると思いニヤリとしました。
5. 三日間にわたる熱く楽しいカンファレンスは最後のマイクセッションにて、「People & Process for UX Process」というワークショップを担当していたPeter Boersmaさんの突然のプロポーズとBirgit Geibergerさんとの婚約でめでたく幕を閉じました。私は最前列で「Oh my god 産地直送の生プロポーズや!!」と興奮しながら、EuroIAは人に出会って親しくなり結婚できちゃうほど親密なコミュニティなんだなぁと思っていました。UX Tokyoもこのようにあたたかく、やさしく、人間味溢れるコミュニティとしていてくれて、東京の大きいUXのイベントでも、プロポーズする勇者が現れることを楽しみに待っています。
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